起業の心得とクラウドファンディング|わかやまでベンチャーin大阪

1月14日(日)14時よりグランフロントのナレッジキャピタルコングレコンベンションセンターで開催された『わかやまでベンチャーin大阪』。前回は、株式会社野村総合研究所 取締役会長の島本正氏の講演を中心に記事にさせていただきました。

今回は、クラウドファンディングにおいて国内最高額である約1億2800万円の資金調達に成功された和歌山のベンチャー企業「glafit株式会社」CEOの鳴海禎造氏、日本政策金融公庫大阪創業支援センターの所長を務める比留間大輔氏、株式会社マクアケ関西支社支社長の菊池凌輔氏の三名で行われた、パネルディスカッションを中心にお伝えしたいと思う。

「わかやまでベンチャー」という議題の通り、「和歌山で起業」をテーマに、若き三名のリーダーが考える「地方での起業」と「クラウドファンディング」にフォーカスして進めていきたい。

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登壇者 紹介

鳴海 禎造

「鳴海 禎造」の画像検索結果glafit 代表取締役/FINE TRADING JAPAN 代表取締役/和歌山電力 取締役。

1980年、和歌山市生まれ。雑賀小→西浜中→開智高校出身。15歳のときから商売を始める。
2003年カーショップ「RMガレージ」を個人創業。2007年には自動車輸出入業「FINE TRADING JAPAN」を個人創業し、翌年に法人化。2011年には中国広東省、2012年には香港に現地法人を設立した。
2012年、日本を代表する次世代乗り物メーカーとなることを見据えてブランド 「glafit」を立ち上げ。2017年にglafit初の電動バイクを発表。9月にはglafitブランドを株式会社化した。2015年には、和歌山県初の新電力事業者(PPS)となる和歌山電力の立ち上げに協力し、取締役に就任した。電力の地産地消の仕組みを整備し、和歌山の活性化を目指して日々事業を進めている。
常にベンチャー精神を忘れず、積極的に新しい事に挑戦していきたいと考えている。

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glafit株式会社
『日本を代表する次世代乗物メーカーになる!』ためのマイルストーンとして、ハイブリットバイク「glafitバイク GFR-01」の開発を2年越しで行い、2017年10月にはプロダクトを世に送り出しす。クラウドファンディングを実施し、1億円を超える支援で当時の国内最高金額を記録。独創的なプロダクトと圧倒的なスピード感で多くの期待を集める和歌山を代表するベンチャー企業。

https://glafit.com/

 

比留間 大輔

「比留間 大輔」の画像検索結果株式会社日本政策金融公庫 大阪創業支援センター 所長

東京都出身。大阪創業支援センターで創業を支援するためのさまざまな業務を担当。創業の準備段階にある方々に対しては、創業計画書作成に関するセミナーや個別相談会などを開催している。地域の創業気運が高まるよう、行政機関・民間企業・地域金融機関・大学など、さまざまな支援機関と連携しながら実施。
また「起業教育の推進」にも尽力。国民生活事業では「高校生ビジネスプラン・グランプリ」を毎年実施し、担当しているエリアの高校へ実際に出向いて「ビジネスプランの立て方」に関する講義を行っている。

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株式会社日本政策金融公庫

株式会社日本政策金融公庫法に基づいて2008年10月1日付で設立された財務省所管の特殊会社。日本の政策金融機関。
前身は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫である。沖縄県を除く46都道府県を営業エリアとする。略称については、当初は「政策公庫」(せいさくこうこ)とされていたが、2009年1月から「日本公庫」(にっぽんこうこ)に変更されている。
基本的には、日本政策金融公庫の前身機関である国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が担っていた業務を引き継いでいる。「民業圧迫」の意見に配慮し、国民生活に深くかかわる3機関で行っていた業務が一部見直された。例えば、国民生活金融公庫が行っていた業務のうち、教育資金の貸付については、低所得者の資金需要に配慮しつつ貸付対象範囲の縮小などである。

https://www.jfc.go.jp/

菊池 凌輔

「菊池 凌輔」の画像検索結果株式会社マクアケ関西支社支社長

北摂三田高→関西学院大学出身。学生時代、ベンチャー企業の立ち上げに携わった経験を生かし、ウェブサービス開発ディレクターとして2つの新規事業に参画。2015年1月(株)サイバーエージェント・クラウドファンディング関西支社の立ち上げに貢献、同年10月関西支社長に就任。「モノづくり関西」の特色を生かした多くのプロジェクトを成功に導く。IT関連の情報に精通し、細やかなニュアンスを伝え、表現することができるクリエイティブな一面を持つ。

「マクアケ」の画像検索結果
クラウドファンディング「Makuake(マクアケ)」

2013年8月のスタートから、IOT関連プロダクトや横浜市などの地方自治体を巻き込んでクラウドファンディングを盛り上げる「Makuake」。2014年4月には国内クラウドファンディングサービス史上、最高額となる3,000万円を超える大型資金調達プロジェクトを成功させなど、話題に事欠かない存在。クラウドファンディングのマーケティングをミックスしたスタイルで着実にファンを増やしている。

https://www.makuake.com/

 

なぜ和歌山なのか?

ーー 鳴海氏が和歌山での起業を選んだ理由(ワケ)とは

地元(故郷)に対する思い入れもあったのは確かだが、それ以上に和歌山での起業にはメリットが多いと感じた。そのメリットとは、正に地の利です。関西国際空港まで約30分のアクセス、そして何より土地や人件費が安い。資金が乏しい起業当初では、これらのメリットは大きい。

そしてもう一点。和歌山は全国都道府県の中でも開業率が最下位。これは何も起業しにくいということではなく、逆を返せば起業を目指すライバルが少ないと言うこと。つまり、それだけ多くの支援を集めることができるのです。

— 比留間氏は、地方の企業についてどうお考えですか

鳴海社長が言うように、地方は起業しやすいのです。私のような支援する立場から見ると、地方の方はまず人がいい。つまり関わってくれる方、協力してる方が多いのです。

田辺市で起業に成功している例を挙げると、まず危機感を抱いている自治体が多いということ。全国約1800市町村のうち約半数にあたる896市町村が、2040年までに少子化の進行に伴う人口減少によって存続が困難になる自治体「消滅可能性都市」であると予測されています。このような危機感を持つ方が多く、地域の活性に繋がるその土地での起業にたいしては非常に多くの方が協力的なのです。

ーー 菊池氏の考える地方での起業の魅力とは

地方にある魅力として挙げられるのが、その土地にある伝統産業ではないでしょうか。和歌山で言うならば、みかんを使ったリキュールや化粧品の開発など、食するだけでなく多種多様なアイデアが生み出すこともできます。また他の地方でも、タンスの素材として「桐」は有名ですが、桐製のロックグラスを開発した会社は、クラウドファンディングの中でも注目を集めました。このように伝統産業を活かした起業は、より支援が集まりやすいとも考えられますし、今後もますます増えていくのではないでしょうか。

 

クラウドファンディングとは

ーー 鳴海氏の考えるクラウドファンディングとは

クラウドファンディングと言えば、「資金調達」というイメージを持たれている方も多いと思いますが、私はそれだけではないと思っているのです。私の考えるクラウドファンディングとは、通常の販売を加速させるためのブースターであり、マーケティングツールと考えています。

また、私の経験から申しますと、クラウドファンディングで得れるもの、それは「人」であり「仲間」なのです。無償で技術やノウハウを提供する方が現れたり、大手企業のトップの方達も協力してくれることになりました。

このように、クラウドファンディングには、単純な資金集めだけを指すのではなく、販売のスピードを速め、多くの協力者や支援者をも得ることができる手段としての側面があるということなのです。

画像に含まれている可能性があるもの:1人、室内ーー では、どのようにクラウドファンディングを使えばよいのでしょう

菊池氏: まずクラウドファンディングとして記憶に新しいのが「東日本第震災」での支援募集ではないでしょうか。元々の始まりは資金調達の意味合いが強かったのですが、鳴海社長もおっしゃるように、マーケティングの要素が強くなってはいます。

例えば、大手のソニーもクラウドファンディングで資金調達を行いました。「なぜ資金力のあるソニーが?」と思われる方も多いとは思いますが、ソニーの考えるクラウドファンディングとは、「顧客の反応を見る」「ユーザーの意見を得る」「検証する」ことに利用しています。つまり、一般の人たちと一緒になってモノ作りを進行する、協創マーケティングとして活用しているのです。

ーー 菊池氏の考える、クラウドファンディングのコツとは

まず言えることは、ただ良い商品やサービスだけでは駄目だということ。誰に向けて販売したいか明確なターゲット設定が必要となります。それと価格設定のバランスも気を付けなければなりません。そして、どんな価値を提供できるかが非常に大切です。どれだけエモーショナルな部分まで落とし込んでいけるかが重要になってくるのです。

 

クラウドファンディング成功事例

ーー クラウドファンディング成功事例とは

菊池氏: そうですね。最近で言うと、トロサバ専門店の「SABAR」はクラウドファンディングの成功事例の一つでしょう。比留間さんの日本政策金融公庫のベンチャー向け融資制度を活用して4000万円を借り入れると同時に、クラウドファンディングも平行して活用し、見事に復活を遂げた成功例ですね。参考になると思います。

SABAR(サバー)|とろさば料理専門店

トロサバ寿司一本で事業を起こし、1号店開設からわずか3年で国内外に13店舗を展開するまでに成長した人気サバ料理専門店「SABAR」「人気のサバ料理専門店は、社長がサバ嫌いだったから生まれた」参照)。ユニークなPR戦略とブランディングで事業拡大してきた右田孝宣社長だったが、サバに特化した製造販売事業は予想以上に効率が悪かった。創業から6年目には倒産の危機に直面。このとき、突破口を拓いたのが、ネットを通じて少額投資を募る「クラウドファンディング」だった・・・【つづきを読む】

 

ーー 和歌山での成功事例はありますか

比留間氏: 和歌山県の有田川町生石に「ヤギの牧場」があります。地域の目玉づくりと過疎化対策として支援させてもらい、京都から移り住んだオーナー様の成功事例は参考になると思います。
元々、ヤギの乳製品生産は牛に比べ規制が厳しく、生産者は全国に10数軒しかなかったんですね。
そこで、高齢化、過疎化に悩み、Iターン者を求めていた生石地区の要望に、牧場を探していたその京都のオーナー様が応じたもので、地域の目玉づくりに合致し、見事に成功へと繋がったのです。

生石高原 やぎ暮らし – ホーム | Facebook

生石にIターン夫婦がヤギ牧場

和歌山県内で初めてのヤギ乳製品生産に向け、有田川町生石の牧場「生石高原やぎ暮らし」が準備を進めている。地域の目玉づくりと過疎化対策として支援を受け、京都から移り住んだオーナーの今府泰明さん(43)は、夢の実現に思いをはせながら、「まずミルクを軌道に乗せる。将来は地元産品とのコラボで特徴あるチーズを売り出し、地域貢献につなげたい」と意気込んでいる。・・・【つづきを読む】

 

成功する要因とは

ーー 皆様の考えるクラウドファンディング成功の要因とは

鳴海氏: 私の中で思い描く構図に「100年ビジョン」というものがあります。つまり、100年先のあるべき姿からさかのぼって今を考えるということなんです。世の中の流れを対極的に見るように心掛け、社会との合点を見い出す、気付けるように常に準備を怠らないことが必要ではないでしょうか。

菊池氏: とある酒蔵の話なのですが、「夏限定、乾杯酒」というキャッチフレーズの商品で成功を収めました。この事例から学べることは、正にターゲットを絞って、シーンを限定して販売したことが挙げられます。いつ、どこで、誰と飲めば一番最適なのか。商品・サービスを利用する顧客の中で最も重要な人物モデル、つまりペルソナを徹底的に意識して企画・開発に着手し、見せ方や売り方まで徹底的にこだわることが成功の秘訣とも言えるのではないでしょうか。

あとは、人に”うんちく”を永遠と語れるくらいの商品でないと駄目ですね。最低限、自分自身が「この商品は絶対に欲しい」と思えるほど愛せる商品やサービスでないと成功は難しい。それはクラウドファンディングで事業を成功できる企業に共通して言えることです。
あとは、地方の地の利を十分に活用していただきたいと思っています。和歌山なら和歌山にしかできないものが見付かるとベターですよね。一度自分に問いかけてみることも必要かと思います。

そして最後は、とにかく「やってみる」ってことですね。あれこれ考えるより、まず挑戦してみよう前へ動き出すことが大切なんです。

比留間氏: 田辺市に「ボイジャーブルーイング」というクラフトビール醸造所があります。地域創生ローンを活用していただいたボイジャーブルーイングさんに言えることは、「唯一」といったブランディング戦略が成功の要因と考えられます。誰が造ったかわからないビールではなく「あの人」が手造りしたと分かるビール。このような地域ならではの「オンリー」は強みになるのではないでしょうか。

「Voyager Brewing」の画像検索結果

Voyager Brewing(ボイジャーブルーイング)

起業するビジネスにおいて、経営理念やビジョンと照らし合わせることも大切です。本当にこれで良いのか、私たちの理念に合ったものなのか、そうでないのか。これらを追求する姿勢を忘れてはいけないと思います。

あとは、マーケットに対する共感を得れるかということ。特に和歌山の方たちは、非常に協力的です。その温かい人たちをいかに巻き込むか、これも成功の大切な要因と言えるのではないでしょうか。

 

最後に

このイベントの最後には、登壇された皆さんとの交流会も設けられた。
そこで私は、glafit株式会社の鳴海社長と少しだけお話する機会を頂戴した。私自身も行くゆくは、和歌山の若い人たちが鳴海社長のように好きなことで起業し成功を収めることができるような支援活動に携わっていきたいと考えています。
和歌山の学生や若い人たちに向けたアドバイスをお願いしてみた。


ーー やりたい事が見付からない、そんな若者に何かヒントをいただけますでしょうか

そうですね。実は私も特別何かやりたいというものが最初からあったわけではないんです。そんな時、カンボジアに行く機会があったんです。カンボジアでは、日本では当たり前の事が当たり前ではない。やりたいことがない、和歌山は企業に向かない、そんな戯言は、カンボジアに行けば吹き飛びます。やりたいことがあっても、やれない環境がカンボジアにはあるのですから。だから、悩んでる人に言えることは、とりあえずカンボジアに行けってことですかね(笑)

「井の中の蛙 大海を知らず」ということわざがあるが、言うなれば「大海の蛙 井の中を知らず」なのが日本人なのであろう。何でもできる環境、何やるにしても困らない環境でもあるにも関わらず、何かと都合のよい言い訳を見付けてはチャレンジしようとしない。

別の取材では、こうも語っている。

クラウドファンディングを使った方法を思い付いてから1年かけて企画を練りに練りました。目標はシンプルでストレートです。見た人に、いかに「いいね!」と言ってもらえるか、だけですから。とにかくこの1年の間は、自分でもたくさん考えましたが、いろいろな方から意見を伺うこともしました。もちろん自動車業界、バイク業界の関係者からもです。しかし、気持ちのいいくらいみんなが口をそろえて「電動バイクなんて、日本でうまくいくわけがない」と言うのです。理由を聞けば、声をそろえて「うまくいった前例がないから」と。ボクは変態なのでしょうか。このダメ出しが、すごくうれしかったのです。だってダメな理由が「前例がない」だけだったら。「前例を作れば成功する」ということになりませんか。これほどやりやすいことはない、この企画は「100%行ける」と確信しました。

そして、クラウドファンディングに挑戦し、約1億2,800万円の資金調達で国内のクラウドファンディングにおける最高金額の記録を樹立したのである。最後にこのようなお願いもしてみた。

ーー 私も学生の応援活動に取り組んでいます。高校などでの講演依頼などは受けていただけますか

はい。喜んで。そういったことには進んで協力したいと思っています。

 

 

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